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最高裁判所第三小法廷 昭和50年(オ)303号 判決 1977年10月11日

主文

理由

上告代理人坂井尚美、同針谷紘一の上告理由第一点について

原審が確定したところによると、(一)上告人らは被上告会社の株主である、(二)被上告会社は、昭和四七年八月四日及び同月二三日の取締役会において、額面五〇円、最低発行価額一三〇円、その株式の種類は記名式普通株とし、第三者割当ての方法により四〇〇万株以内の新株を発行する旨の決議をし、昭和四八年二月一五日右取締役会決議と同一内容の新株四〇〇万株(以下「本件新株」という。)を発行価額一八〇円で株主以外の第三者に割当て発行した、(三)被上告会社は、本件新株発行に際し商法二八〇条ノ三ノ二所定の公告又は通知をしなかつたが、本件新株発行につき株主総会の特別決議を得るため昭和四七年九月二〇日臨時株主総会を開催した、(四)被上告会社は、右株主総会に先立ち、会議の目的たる事項として「議案第三者割当による新株発行に関する件(1)新株の額面、無額面の別、額面株式一株につき五〇円(2)種類記名式普通株式(3)新株の数四〇〇万株以内(4)最低発行価額一株につき金一三〇円」と記載した招集通知書を、議決権代理行使の勧誘に関する参考書類として「第三者割当による新株式発行を必要とする理由」と題する書面(第一審判決別紙(三)参照)とともに、各株主に発送した、というのである。

右事実関係に本件新株発行の経緯をあわせ考えると本件新株発行を有効とした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

同第二点について

商法二八〇条ノ二第二項所定の株主総会における特別決議の欠缺の瑕疵が新株発行の無効原因とならないものであることは、当裁判所の判例とするところであり(昭和三九年(オ)第一〇六二号同四〇年一〇月八日第二小法廷判決・民集一九巻七号一七四五頁、昭和四六年(オ)第三九六号同年七月一六日第二小法廷判決・裁判集民事一〇三号四〇七頁参照)、かつ、本件新株発行が同法二八〇条ノ三ノ二所定の手続に関する点で有効とみるべきことは前記のとおりであるから、所論指摘の特別決議の成立の有無は、結論に影響を及ぼさないものというべく、原審はこれと同旨の判断を示しており、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

(裁判長裁判官 江里口清雄 裁判官 天野武一 裁判官 高辻正己 裁判官 服部高顕 裁判官 環 昌一)

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